赤ちゃんのミルク作りで安全な水は?現職品質管理が比較!【水道水・浄水器・RO水・天然水】

家事の省力化

多くの方が子育てに使う、粉ミルク。ミルク作りに使う「水の品質管理」は赤ちゃんの健康に直結する大切なファクターです。

現職の品質管理で特に微生物管理を専門にしている私が、粉ミルクを作る上で衛生的で安心して使える水を探すため、以下の4種の水を徹底的に比較しました。

  • 水道水
  • 浄水器の水
  • RO水
  • 天然水

この記事では、赤ちゃんのミルク作りで安心して使える水はどれなのか、その理由を論文や学会の提言も踏まえて徹底的に深堀りしていきます。

「水の品質管理」が赤ちゃんを守る

ミルク作りで使う水は殺菌が重要

上記の基準の通り、粉ミルクは無菌ではありません。加えて、各家庭で行う調乳操作も当然無菌環境ではないため、粉ミルクと家庭の環境中から菌が調乳中のミルクに入り込むおそれがあります。

そのため、水自体の衛生管理や殺菌が非常に重要です。

WHOのガイドラインでも、事前の水の殺菌のために以下のような対応を推奨しています。

  • 水を沸騰させる
  • 3~5滴のブリーチ(塩素)を加える
  • 適切なフィルターによりろ過する

塩素は水道水にも入っていますが、独特の匂い(カルキ臭)がするため赤ちゃんが嫌がる可能性が高いです。

ネンノキ
ネンノキ

日本在住であれば「沸騰させた水」か「フィルターろ過により殺菌された水」を使うことをおすすめします!

ミルク作りに硬水はNG!硬度「100mg/L以下」の水を使う

国産の粉ミルクを使う場合、硬水でのミルク作りは避けましょう。

日本小児科学会からの発表では、ミネラルが多く含まれている硬水を使ってミルクを作ると、乳児に過剰な負担を与える可能性があると警告しています。

国内の粉ミルクメーカーのページでも、粉ミルクは日本の水道水を使って調乳することで母乳に近くなるように作られていると記載があります(大手メーカー:MM

硬度の目安として、軟水と言われる「硬度100mg/L以下」の水を使うようにしましょう(日本基準。WHOの基準では硬度120mg/Lが軟水)。

大前提:ミルクは国の基準に従って製造・管理されているものを選ぶ

ミルクに関しては、国内産ミルク(調製粉乳、調製液状乳)は以下のような国の成分規格に則って製造・管理されているため、安心して使うことができます。詳しくはこちらの記事で解説しています。

(23) 調製粉乳
 成分規格
乳固形分 五〇・〇%以上
水分 五・〇%以下
細菌数(標準平板培養法で一g当たり) 五〇、〇〇〇以下
大腸菌群 陰性

(24) 調製液状乳
1 成分規格
発育し得る微生物 陰性
2 製造の方法の基準
 牛乳のうち、摂氏一〇度以下で保存することを要しないものの例によること。
3 保存の方法の基準
 常温を超えない温度で保存すること。

乳及び乳製品の成分規格等に関する命令(厚労省)

徹底比較! 4種類の水の「安全性」と「衛生管理リスク」

水道水:厳しい水質基準をクリア!ただし残留塩素がある

日本の水道水は実に51個もの「水道水質基準」をクリアしています。あまりに数が多いので全部はご紹介しませんが、概略は以下のとおりです。

  • 微生物(一般細菌、大腸菌)
  • 重金属(水銀、亜鉛等)
  • 化学物質(クロロホルム、界面活性剤等)
  • 性状(色、味、濁度等)
水質基準項目と基準値(51項目)(環境省)

これらの基準にクリアしているため、大人はもちろん子どもや赤ちゃんでも安心して飲むことができます。

一方で、匂いに関しては気になっている方も多いと思います。これは残留塩素が原因のいわゆるカルキ臭で、時期や地域によっては非常に強く感じるものです。

論文によると、残留塩素は水道水を数分沸騰させることで、90%以上を除去することができます。調乳の準備として水を温める際に、沸騰状態で5分から15分程度維持していれば、自然と除去することが可能です。

したがって、水道水は沸騰させれば衛生的にも安心してミルク作りに使える水であると言えます。

浄水器の水:匂いと味は改善されるが、二次汚染のリスクあり

浄水器を取り付けているご家庭もあるかと思います。前述の通り、水道水そのままではカルキ臭がひどく飲めない地域の方はなおさらです。

浄水器では塩素を始めとした不純物を取り除いてくれるため、匂いや味は改善します。その一方で、塩素が取り除かれることにより、浄水器内部で菌が繁殖するおそれがあるのです。

だいぶ前の通知であるため現在は改善されている製品もあるかと思いますが、厚労省からの通知では以下のように記載されています。

浄水器中での細菌の繁殖
水道水には消毒のための塩素が含まれています。浄水器に水道水を通すと、この塩素が取除かれてしまうために、水の消毒効果がなくなり、浄水器内に細菌が繁殖することがあります。特に、活性炭を長く使用していると活性炭の表面に様々な物質が付着して、細菌が繁殖しやすくなります。また、浄水器の使用を停止している時間が長くなると細菌の繁殖が著しく進むことがあります。

水道の給水せんに取付ける家庭用浄水器の使用について(厚労省)

このように、適切な管理を怠ってしまうと水道水を二次汚染することになり、かえって衛生状態が悪くなる可能性があります。

赤ちゃんのために浄水器を、と考えているご家庭は、日々のメンテナンスも含めて検討してみてください。

RO水(純粋):究極の「無不純物」水

RO水を簡単に言うと、水道水から更に不純物を取り除いた水です。RO膜(逆浸透膜)というものを使って不純物を取り除いているためRO水と呼ばれています。

ほぼ純水と言える純度であり、安全性という観点ではこれ以上のものはないでしょう。

さらに、ミネラル等も除去されます。前述の通り赤ちゃんに過剰なミネラルを与えると負担になってしまうため、良いことずくめです。

一方で、塩素等の殺菌成分も除去されてしまうため、一度開封した後は菌の繁殖のリスクがあります。口をつけていたり、ミルクがはねたりしている場合は冷蔵庫に入れても当日中に使い切ったほうが安心です。

天然水:最大の懸念事項「硬度」

天然水をミルク作りに使う場合は硬度を十分に確認するようにしてください。

硬度は前述の通り100mg/L以下でないと、赤ちゃんに負担をかけてしまう可能性があります。ミネラルウォーターとして販売されている水、特に外国産の水の多くは硬水です。赤ちゃんのミルクに使うにはミネラルが多すぎるため、避けましょう。

日本産の天然水であれば、軟水であることが多いです。かといって過信は禁物。使う前に確認を怠らないようにしましょう。

なお、天然水は加熱、ろ過、紫外線、オゾン等により殺菌されています(参考)。殺菌されているとはいえ、RO水と同様に天然水自体には殺菌成分は含まれていませんので、開封後は速やかに消費しましょう。

科学的根拠に基づく安全な調乳の基礎:加熱殺菌が基本のキ

残念ながら粉ミルクは未開封でも無菌とは言えませんので、調乳時に殺菌する必要があります。

WHOのガイドラインで推奨される手順では、「70℃以上のお湯で調乳すること」とされています。この温度では特に乳児への感染が懸念されるサカザキ菌やサルモネラ菌を効果的に殺菌することができ、感染リスクを低減することが可能です。

70℃のお湯によってサカザキ菌やサルモネラ菌に対する殺菌されるとする科学的な根拠は以下の記事で解説しています。

現職品質管理のプロが導く「水」の最適解ランキング

赤ちゃんのミルク作りに適しているのはどの水なのか、安全性を最優先に利便性やコストも考慮した結論をランキング形式でご紹介します。

順位水の種類理由
第1位水道水(煮沸消毒)日本では煮沸消毒すれば極めて安全に使える。コスト面でも最安。加熱と冷却に手間がかかることがデメリット。
第2位RO水(未開封)不純物・ミネラルが除去されている安全性が最大のメリット。ただし温める際に開封するため加熱冷却の手間は水道水と同じ。
第3位天然水(殺菌済み未開封)軟水であればRO水と同じように使えるが、硬水はNG。他の点はRO水と同じ。
第4位RO水/天然水
(殺菌済み、衛生管理されたサーバー)
安全性は水道水の次点程度。コストも高い。サーバー機能で80℃程度を維持できるのであれば利便性が高いためランクイン。

おむつ交換や寝かしつけなど、何かと手間のかかる育児で少しでも省力化したいと考え、ウォーターサーバーの安全性について調査しました。私の結論としては「健康な赤ちゃんのミルク作りへの使用は許容できる」という判断です。こちらの記事でご紹介しています。

まとめ:安心・安全なミルク作りのための3つの鉄則

多くの方が子育てに使う粉ミルクにおいて、「水の品質管理」は赤ちゃんの健康に直結する最も大切な安全対策です。

現職の品質管理の専門家として、論文や科学的根拠に基づき4種類の水を徹底比較した結果、水選びにおける「安全」と「安心」を確立するためには、以下の3つの鉄則を守ることが重要です。

鉄則根拠
硬度100mg/L以下の軟水を選ぶ国内の粉ミルクは日本の水道水(軟水)を基準に設計されており、硬水を使うとミネラル過剰摂取による消化器官への負担リスクがある(日本小児科学会の提言)。
水自体と粉ミルクの菌リスクを「加熱殺菌」で最小化する粉ミルクは無菌ではない(細菌数50,000個以下が許容)ため、調乳時に水とミルクの両方を70℃以上の熱で殺菌する必要がある(WHO/FAOガイドライン)。
殺菌成分がない水は速やかに消費するRO水や天然水、塩素が除去された浄水器の水は、開封後やろ過後の殺菌効果がゼロになるため、空気中の雑菌による二次汚染のリスクが高まり、菌が急速に増殖するおそれがある。調乳後のミルクも同様。

これらを考慮すると、最も安全でコスト効率が良い水は「煮沸消毒された水道水」であるという結論は変わりません。しかし、この方法には「加熱と冷却に手間がかかる」という大きなデメリットがあり、夜間の調乳や育児の負担を増大させます。

私は専門的な知識に基づいた「水の安全性」の確保と、「育児の利便性(時短)」の両立を可能にするツールとして、ウォーターサーバーに注目しています。

品質管理の視点から、「70℃以上の温水を常時供給でき、かつ外部からの雑菌混入リスクを最小化する構造」を持つ製品を徹底的に検証した記事を、次のステップとしてぜひご覧ください。

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